
訪問介護の仕事〜現場で働くヘルパーから
*訪問介護ってどんな仕事?*
訪問介護は利用者さんのお家に行って、身体のお世話や生活のお世話をする仕事です
自分で歩けて殆どの事は出来てしまうような方もいれば、寝たきりで自分で身体を動かす事も出来ない方、認知症で同じ事を何度も繰り返して話したり自分のする事が分からなくなってしまってる方、癌などの末期をお家で過ごされている方など、様々な利用者さんがいらっしゃいます
自分で歩くこともでき、ある程度の身の回りのことも自分で出来るような利用者さんは大体「要支援」の方です
要支援のサービスは、一人暮らしで身体を動かしての家事が負担になるという方に対して、その方の出来ない事をヘルパーがお手伝いするという生活援助が殆どです
*生活援助*
部屋の掃除や洗濯、買い物や調理など、普通の主婦の方々が普段お家でやっているような事を利用者さんのお宅で行います
人の家での家事って大変じゃない?って聞かれる事もありますが、初めは利用者さんにやり方などを聞きながら覚えていくのですが、毎回同じ事をするので、慣れてくれば自分の家と同じように手早く出来るようになります
掃除は掃除機やクイックルワイパー、時には雑巾掛けをする事もありますが、お金を貰ってやる運動だと思えば雑巾掛けも結構楽しいものです
洗濯は殆ど洗濯機がやってくれるので干すだけ、買い物も利用者さんの希望する物を聞きメモ書きしてお金を預かり、近くのスーパーやコンビニなどで買ってくるだけなので子供でもできます
調理は実は私は苦手です
でも一人暮らしの方で、手をかけて凝った物を作るような調理のサービスって殆どありません
大抵出来ている物を買ってくるとか、後は利用者さんが言ってくれる通りに茹でるとか下ごしらえなどです
女性の利用者さんなどは、私の出来ない様子を見て、かえって嬉しそうに色々と教えてくださる事もあります
どうしても調理をしなくちゃいけないときはクックパッドが大きな助けになります
それでもどうしても調理が苦手な人は、そのサービスをお断りすればいいんです
サービスを配分する責任者も、出来ない事を無理にヘルパーさんに押し付けるような事はありませんから大丈夫
時には勘違いして、あれもやれこれもやれと言ってくる利用者さんもいるかもしれませんが、介護保険は公的な予算を使っての仕事なので、介護計画で決まっている事しか出来ません
もしちょっと勘違いしている利用者さんに苦労していたら、サービス提供責任者やケアマネージャーさんに相談してみてください
*身体介護*
生活援助の他には身体介護という、利用者さんの身体のケアをする仕事もあります
全く動けず寝たきりの人に対しての身体介護は、オムツ交換、陰部洗浄、身体清拭、食事介助など
車椅子でなら動けるような人に対しては、トイレ介助や更衣、身体清拭や入浴介助、移動介助
自分で歩けるような人には、歩行器や杖歩行での移動介助や買い物同行や通院同行など、それぞれの人に対して必要な様々な事を行いますが、
訪問の身体介護では大抵30分程度でオムツ交換や清拭、更衣などが殆どです
介護を知らない人が一番大変そうに思うのは、オムツ交換などのいわゆる“シモのお世話”かと思いますが、手袋や洗浄ボトルやお尻拭きなどを使って、慣れてくれば簡単に出来るようになります
マスクもしているので臭いもそうそう気になりませんし、子供を育てたお母さんだったらすぐに慣れてしまうと思います
男性はそういう仕事に抵抗あるかと思いましたが、結構男性の介護士さんでもすぐに慣れて、手際良く手早く行っています
私は調理よりはオムツ交換の方が全然いいです(笑)
訪問介護の仕事はまだまだ色々あるのですが、分かりやすい簡単な事についてとりあえず書いてみました
*訪問介護で大切なこと*
このように訪問介護では、それぞれの方の状態に合わせてそれぞれの方に必要な介護をするのですが、一番大切で一番難しいのは、その人個人への理解だと思っています
利用者さんの状況や気持ちへの理解が無いと、自分勝手で“やってあげてる”介護になってしまいます
中には、いつも不機嫌だったり我儘ばかり言ったり騒いだりする利用者さんもいて、お宅に伺うのが辛くなる時もあります
でもその人が、何で不機嫌なのか、何で我儘なのか、何で騒ぐのか、それを考えてみた時に、嫌だと思っていた利用者さんの気持ちに少し寄り添えるようになります
そうすると利用者さんの方でも少し変わってくるんです
キツいことを言いながらもこちらの様子を伺っている、そんな姿も見えてくるんです
今私が担当している利用者さんは10数人いますが、その中で“嫌だな”と思う方はひとりもいません
*訪問介護で素敵なこと*
そして自分よりも何十歳も年上の方々からは、本当に沢山のことを教えて頂けるんです
自分がいかに常識知らずだったのかと恥ずかしくなる時もよくありますが、素直に「知りませんでした、すみません」って謝ると、高齢の方々って呆れながら結構それを笑って許して下さるんです
知らなかった事を教えて頂いた事は本当に沢山あります
何も知らない私にいつも呆れながらも、娘のように可愛がって下さった利用者さんもいました
*訪問介護で辛いこと*
そんな利用者さん達ですが、やはり高齢なので亡くなられる方も多くいらっしゃいます
介護の仕事で本当に辛いのは、心の通った利用者さんとのお別れです
本当に辛いです
それでも
その利用者さんの人生の最後まで支えるのが私達のお仕事です
明日もまた、人生のお手伝い
頑張りましょう